菅(カン)直人元総理のボロボロ提案、市立保健所を!? 市単独で保健所を持とうとしている市は、どこにもありません

菅(カン)直人元総理のボロボロ提案、市立保健所を!? 市単独で保健所を持とうとしている市は、どこにもありません

菅直人元総理のレポートの中に“市立”の保健所をとの主旨の記事がありびっくり。地元武蔵野市をはじめ、三多摩各市でそんな構想があるとは、聞いた事がないからである。
そこで東京都市長会の有力市長に聞いてみたら、そんな話聞いたことないと言う。念のため事務方に確認したら「“市立”等という話は一切ありません」とのこと。

1994年に地域保健法という法律が新設されて、
①保健所は都道府県、政令指定都市(横浜市のような)中核市に置くと書かれていた
②それ以前には市町村も伝染病予防法上の責任を負っていたのですが、細菌性の伝染病が征圧されて、さらに微細なウィルスによる感染症予防法が施行され専門性の高いウィルスによる感染症は、都道府県や政令市などのように専門性の高い能力を持つ広域自治体に権限が集中されたのです。
③そのかわりにガンや心疾患、脳症患等、生活習慣と深い関わりのある、いわゆる成人病・生活習慣病は身近な市区町が担うことになり、市区町村立の保健センターが出来たのです。

新型コロナ等感染症は昨年2月のダイヤモンドプリンセス号以来、1年7ヶ月の間に死者1.4万人を超えましたが、ガンによる死者は37万人なのです。この法律以来、感染症対策は都道府県等が担い、生活習慣病は市区町村が担うという役割分担が明確になり各々責任を果たすことになるのです。
だから、菅直人元総理が昨年11月に衆議院厚生労働委員会で質疑し「市立保健所」と主張を展開した時、田村厚労大臣は「出来るならどうぞ。法は一般市における“市立保健所”を禁止はしてませんから」という態度に終始したのです。菅直人元総理はレポートでの主張をトーンダウンさせ、あいまいな表現に直しているが、保健行政の基本を理解していない。
ちなみに令和2年11月13日の衆議院厚生労働委員会の質疑が公開されているので、ご覧いただければ参考になります。その中の質疑で三多摩各市の数や人口など間違えて質問、さらに23区と東京都間における財政調整制度、いわゆる都・区財調を全国の中で歴史上23区のみに適用される制度であることを理解していない発言もあり、現職の衆議院議員として大丈夫なのかと不安になった。
尚、都と23区の財政調整制度は昭和18(1943)年、戦時体制強化のため旧東京府と旧東京市が合併して東京都が出来たことに端を発した、長い長い沿革を持つ制度であり、日本の自治制度の中で東京都だけに適用されている制度であります。
固定資産税など市が持つ課税権を東京都が課税し、それを23区に配分するという制度。このことを論ずると、東京の自治の形を語ることになる。私も十分な知識を持ち合わせていない。

いよいよ明日6月25日から国内最大の広域自治体、都議会議員選挙が始まる。超巨大な東京都政を理解するのは至難の業だが、十分本筋を押さえた議論が展開されることを期待したい。自民党としても、少しでも都民の理解を得て吾が党の候補者が当選出来るように頑張りたい。