米国、核爆弾の小型化と運用拡大発表、ロシアに対抗することがよくわかる毎日新聞、米、核なき世界放棄と一方的に報ずる朝日新聞

米国、核爆弾の小型化と運用拡大発表、ロシアに対抗することがよくわかる毎日新聞、米、核なき世界放棄と一方的に報ずる朝日新聞

2月3日発売の夕刊が先行報道した米国の核戦略見直し論議、翌2月4日朝刊で毎日と朝日が1面で取り上げ、背景となる関係記事を他面でも掲載した。

毎日と朝日の記事が対照的だった。
毎日はロシア北西部レニングラード州ルシスキーで、ロシアとベラルーシが合同で大規模な軍事演習を実施、小型の戦術核を搭載可能なミサイル「イスカンダルM」の発射実験を行い、480km先の標的に命中させた。ロシアが限定的に戦術核を使い、敵の戦意を失わせる(1面本文)。

3面では2000年の軍事ドクトリン改正で「通常兵器を用いた大規模侵略への対応として、核兵器使用の権利がある」と定めたと記述した。3面のタテの大型見出しは「米小型核、露に対抗」となっている。

朝日は米国の核戦略の内容は骨子を記述したが、背景となるロシアの核の先制攻撃を想定した軍事訓練の実施については、何の言及もない。見出しも1面が「米、核なき世界放棄」「運用拡大へ弾頭小型化」

3面の大見出しは「使いやすい核、リスク拡大」「爆発力抑え、潜水艦に搭載」「条件を緩和」「トランプ政権中脅威」「日本政府高く評価」「被爆地募る危機感」「ロシア失望」となっている。朝日はロシアとベラルーシの大軍事演習を知らない訳ではなかろう。

朝日だけ読んでいると、トランプ政権は核を小型化して、相手に一方的・強権的な印象だ。毎日、朝日の両紙を読み比べると、毎日の記事が現在進行中のロシア・ベラルーシの合同軍事訓練に触れ核攻撃用ミサイルの実験にも触れ、より総合的な分かりやすい記事となっている。
ジャーナリズムのあり方として、拍手を贈りたい。

バルト三国の目と鼻の先で実施されたロシアとベラルーシの大軍事演習には、10万人を超える兵士が参加し、大規模すぎるとNATO諸国が警告を発し、軍が警戒態勢に入ったとの昨年の記事を思い出した。