福島原発事故、菅総理の思いつき介入の反省から、事故時における発電所内での対応(止める、冷やす、閉じ込める)については、第一義的に事業者の責任とし、政治家による場当たり的な指示・介入を防ぐ仕組みとする―国会事故調査報告書

福島原発事故、菅総理の思いつき介入の反省から、事故時における発電所内での対応(止める、冷やす、閉じ込める)については、第一義的に事業者の責任とし、政治家による場当たり的な指示・介入を防ぐ仕組みとする―国会事故調査報告書

東京電力福島原発事故に対して、平成24年7月に専門家による国会事故調査委員会が両院議長に報告書を提出した。この報告書に基づいて、政府がとった措置を毎年国会に報告している。平成29年度版報告書が自民党政務調査会で審議、了承された。

国会事故調の提言2,3には、表題のように発電所内(オンサイト)での対応について、政治家による場当たり的な指示・介入を防ぐ仕組みとするという指摘がある。確かに平成23(2011)年3月11日の東日本大震災の津波による原発事故の対応は、菅総理が翌日ヘリで現場に乗り込んだパフォーマンスで、吉田所長以下のベント作業を邪魔した。また、炉を冷やすのに海水を入れるなと官邸から指示したり、極めてお粗末な対応をしたことは記憶に新しい。このことが被害を拡大した要因の一つとも言われている。

この国会事故調を受けて、毎年政府は次のような方針を出している。
①オンサイトの事故対応は、事業者が第一義的に行う。
②技術的、専門的知見に基づいて行うオンサイト対応については、独立した専門機関である原子力規制庁が行う。
③原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)は、必要な機材調達などに責任を持ち、指示によって関係行政機関が行う。
とした。当然だ。

私は「この役割分担は、事故当時問題となり参考にした、アメリカにおける事業者と規制機関と知事や大統領の役割と同様か?」と質問した。内閣府原子力防災や原子力規制庁からは「その通りです」との回答があった。

当然と言えば当然だ。現場を一番良く知っているのは事業者なのだから。福島原発事故は、政治家のパフォーマンスが事故を深刻化した典型的な事例にあたるだろう。