毎日新聞、北朝鮮問題で日本が「蚊帳の外」との特集記事―核を持たず国境も接しない日本として立ち位置が異なるのは当然だ

毎日新聞、北朝鮮問題で日本が「蚊帳の外」との特集記事―核を持たず国境も接しない日本として立ち位置が異なるのは当然だ

米・中・ロ・朝は核保有国で、韓国は陸続きの戦争当事国だ。4月10日付夕刊の毎日新聞が、北朝鮮問題で特集記事を書き、日本が外されているとの記事。典型的な印象記事だ。

北朝鮮が国連をはじめ、関係国で問題視されるのは「核ミサイル」を保有しているからだ。もし核ミサイルを保有していなければ、鎖国状態の世界の最貧国に過ぎない。短距離、中距離の核ミサイルを所有し、射程1万kmを超える大陸間弾道ミサイも実戦配備しようとしている。米国も射程に入るのだ。これを直接阻止しようとすれば、完全な経済制裁と暴発を防ぐための核大国しかない。

世界一の軍備を持つ核大国アメリカ、又中国、ロシアは核保有国であると同時に、北朝鮮と国境を接してもいる。さらに韓国は核は保有していないが、38度線を挟んで休戦状態であり、首都ソウルまで40kmしか離れていないのだから、通常兵器による侵攻にも備えなければならない。休戦中の戦争当事国なのだ。

一方、日本の立場は、北朝鮮とは国境も接してなく、核武装もしていない。敵地攻撃能力は法制上も制約があるし、能力そのものも持ち合わせていない。北朝鮮から見ると、安全保障面では単なる近隣関係国でしかない。北朝鮮が核放棄した時に、はじめて経済上のメリットが出てくるのに過ぎない。日本から見ると北朝鮮は中距離核ミサイルを持つ、安全保障上の重大な脅威なので、日米同盟に基づいて、米国の抑止力に期待するのだ。北朝鮮の非核化を迫るメインプレイヤーでないことは明らかだ。

毎日新聞の記事はこれらの基本的な力関係に焦点をあてずに「安倍内閣が何も出来ない」という印象を与える記事だ。数ヶ月前に米国が小型の戦術核開発を発表した時は、ロシアの戦術核(使える核)に対抗する抑止力だと、極めて総合的な記事を書いたのに残念だ。