松下市長の政治的立ち位置が明らかになった。武蔵野市住民投票条例に、投票権を有する者の規定で日本国籍を有する者に加えて、定住外国人を規定

松下市長の政治的立ち位置が明らかになった。武蔵野市住民投票条例に、投票権を有する者の規定で日本国籍を有する者に加えて、定住外国人を規定

第4回武蔵野市議会定例会に、市長提出の武蔵野市住民投票条例が付託され審議されることになった。
住民投票は法に定めたリコールや条例制定を求める直接請求などがありますが、この条例は法の明文の規定がない独自条例ということになります。法律が予定してない武蔵野市の独自条例で、その根拠は既に成立している武蔵野市自治基本条例第19条を根拠とした手続き条例です。

“手続き条例”とは言うものの自治基本条例では明解になっていなかった住民投票の投票権を有する者の範囲を日本国籍を有する者にプラスして、定住外国人を加えていることです。手続き条例の形をとりながら、新たな要件を規定しているのです。
この住民投票の対象は市政に関する重要事項で「武蔵野市及び市民全体に影響を及ぼす事項」となっているので、武蔵野市の地方公共団体としての団体意思の決定に影響を及ぼすことは明らかであります。

日本国憲法第93条は地方自治を実現する手段として、直接選挙で選ばれた長と議会の議員による代表制民主主義を規定しています。長や議員は日本国民による選挙で選出されます。
国民主権、代表制民主主義の基本原理と定住外国人も参加する住民投票は、どのような法的関係を構築するのか、そこが問題です。

ここに松下市長の考え方、思想、立ち位置が反映されています。
「外国人でも同じ武蔵野市内に住んでいる住民同士だから、身近な市政に意見を反映させた方がよいね」という、単なる同情論ではすまない、日本国の国民主権に関わる問題が内在しているのです。
この条令そのものは、他の法律等よく目配りの効いた完成度の高いもので、短期間にまとめた武蔵野市職員のレベルの高さを表しています。
しかし、その根本に市長の思想、指示があった場合、憲法、地方自治法などの規定とどう緊張感をもって法的整合性をとるのか、手続き論ではすまない法の支配の完徹という課題があるのです。市議会で十分かつ幅広い議論が行われることを期待します。