心は脳にある―脳科学の世界的権威、文化勲章受章者、武蔵野市名誉市民の伊藤正男先生ご逝去

心は脳にある―脳科学の世界的権威、文化勲章受章者、武蔵野市名誉市民の伊藤正男先生ご逝去

12月18日ご逝去、本日告別式が挙行され悼んで参列した。武蔵野市在住の伊藤先生は平成8(1996)年、文化勲章を受章され、それを機に市議会の議決をもって、武蔵野市名誉市民に推戴いたしました。

伊藤先生は平成元年に東大を退官、理化学研究所に移られ、国際フロンティア研究というシステムをつくられ、脳医学に分子生物学や生化学の専門家と学際的な研究をすすめ「脳を知る」「脳を守る」「脳を創る」という三大目標を立てられ、国の戦略的研究計画、脳科学の時代を切り拓いていかれた。

「脳をつくる」から今日のAIの成果が導かれた。本日の諸先生の弔辞によると、日本の脳科学研究は米国、EUと並ぶ世界三大水準だという。伊藤先生から私のような門外漢でも分かる初心者向けのご本を3冊いただいた。昨夜はその一冊「脳科学の新しい枠組みを求めて」を再読して告別式に臨んだ。伊藤先生のお考えは「心は脳の中にある」という、一元論を恩師から学び、研究を進められたのだが、一元論を進めた恩師が晩年「心は別にある」との二元論を唱えられ、弟子たちは大いに困ったというエピソードを話された。伊藤先生が恩師に「私たち弟子は困ります」と申し上げたら、その恩師は答えた「君は寂しくないのか」と。伊藤先生は恩師を慮ると共に懐かしそうに話された温かい笑顔が、昨日のように思い出される。

伊藤先生には武蔵野市の中・高校生に何回か脳科学の最先端をお話しいただいた。伊藤正男先生を名誉市民として推戴申し上げ、市民は誇りに思っております。長年にわたりお世話になりありがとうございました。安らかにお眠り下さい。