尖閣周辺で領海侵犯にあたる海上保安庁職員の安全は守れるのかー兼原敦子氏は語るー中国の海警法が施行され、警察業務を執行する海警局(日本の海上保安庁にあたる)は、直ちに国防・軍事任務につける

尖閣周辺で領海侵犯にあたる海上保安庁職員の安全は守れるのかー兼原敦子氏は語るー中国の海警法が施行され、警察業務を執行する海警局(日本の海上保安庁にあたる)は、直ちに国防・軍事任務につける

先週、海事振興連盟の勉強会が開かれ参加。兼原敦子さん((一財)キヤノングローバル戦略研究所)の講演をお聴きしました。

日本の固有の領土である沖縄県尖閣諸島では、中国の海警局の公船がたびたび領海侵入を繰り返しており、海上保安庁の巡視船が警戒に当たっています。海保の任務は法の執行であり、警察行動です。

一方、中国の海保に該当するのが海警局の公船ですが、2021年2月に中国が海警法をつくってから様相が異なってきています。海警局は中国の軍事委員会の所属になり、警察業務だけでなく、必要に応じて軍事行動がとれることになりました。法に基づき、海警局の公船は大型化して1万トン級も配置。船体構造が厚くなり、搭載している武器も、より強力になっています。

しかし、海上保安庁は、あくまで警察業務なので1000~3000トン級が主力で、軽快な構造になっていて武器も警察行動に必要なものに留まっています。そもそも戦闘訓練は受けていません。

日本の領海内の主権を守ることは海保の重要な使命ですが、日本の領海法(昭和52年5月施行)は、全文でわずか五条。領海の範囲と接続水域の定義を定めているだけです。

領域における我が国の主権を守るという決意がどこにも書かれていません。

そこで、次の3つの課題を述べられました。
①「(領域)主権」の法による明示の規定 
②海上保安庁および海上自衛隊による武器使用への法規制への対応 
③統制要領下での海上保安庁と海上自衛隊の連携における海上保安庁の安全確保 

以上、講演を基に書きました。(文責:土屋)