天皇陛下のお気持ちを忖度して、宮内庁長官が東京オリパラがコロナの感染拡大に繋がらないよう感染防止に万全をと発言

天皇陛下のお気持ちを忖度して、宮内庁長官が東京オリパラがコロナの感染拡大に繋がらないよう感染防止に万全をと発言

日本国の象徴というお立場で天皇陛下が100年に一度のコロナ禍について、ご心痛であられることは容易に拝察出来る。
このことを忖度して宮内庁長官が「私の拝察」「肌感覚」「陛下から直接そういうお言葉を聞いたことはない」と発言されたのは、まことに微妙で適切な表現と評価出来る(6月26日読売)。
また記者団の質問について、菅首相が西村宮内庁長官の発言について「本人の見解を述べたと理解している」と答弁されたのも適切だと思う。

天皇は政治的発言はしないということが憲法上の大原則だが、一方で「日本国の象徴であり、日本国民の統合の象徴である」ことは日本国憲法の明文の規定でもある。
日本国民が100年振りの大規模なコロナ禍という感染症に苦しんでいるのに対して、お気持ちをどう表現するかは象徴としての重要な役割ではなかろうか。
陛下が具体的な方策に言及すれば、明らかに政治利用になる。しかし国民の喜びと苦しみを共にすることが象徴天皇のお役目なのだから、感染拡大防止に万全をと間接話法でお気持ちを披露するのが、もっとも適切な方法なのだろう。

2011年3月11日の東日本大震災の時、陛下が国民にビデオレターという方策でお見舞いの言葉を発したのを思い出した。これから先は政治家の責任である。