ふるさと納税制度を立法主旨に反して濫用。アマゾンギフト券等の返礼品で釣って498億円もの巨額な寄付を集めた大阪府泉佐野市、適用団体から除外するのは当然だ

ふるさと納税制度を立法主旨に反して濫用。アマゾンギフト券等の返礼品で釣って498億円もの巨額な寄付を集めた大阪府泉佐野市、適用団体から除外するのは当然だ

住民には自分の居住している地域社会の共同経費に当てるために住民税が課税され、納税しなければならない。住民みんなで経費を負担しようという精神で所得に関する税率は一律10%と定められている。

ふるさと納税制度は住民税の一部を、自分の人生でお世話になった『ふるさと』や災害にあった自治体を助ける等の理由で、自由意志で居住地以外の都道府県や市区町村に寄付をする制度である。寄付額をのうち2000円を控除して、残りを所得税や住民税から控除されるので、寄付がしやすくなる制度なのだ。逆に居住地の自治体は、その分の住民税が減ることになる。

寄付を受けた自治体は感謝状や市報等を送り、「応援ありがとうございます。我が街に一度お出かけ下さい」と感謝するという主旨の制度なのだ。 そのうち、寄付の御礼に地元特産品を返礼品として贈る自治体が現れた。それが段々エスカレートして「我が街に寄付をしてくれれば、こんな品を贈ります」とまるでカタログショップのようなことになったのだ。

その極め付きが泉佐野市でアマゾンのギフト券まで贈り、その返礼率も寄付額の70%程と非常識な率となった。法で禁止されていないなら、何をやっても良いという感覚だ。

総務省は行き過ぎを諌めて、返礼品は寄付額の3割以内の地元特産品との通知を出した。そして地方税法を改正する。

泉佐野市は、これを受けて地方税法の改正前に駆け込みでキャンペーンを張ったのである。

総務省は法を改正して、令和元年6月から寄付を受けられる自治体を指定方式として泉佐野市をふるさと納税の対象に指定しなかったのである。 泉佐野市の千代松市長は、これを不服として国・地方係争処理委員会に訴えたのである。 この委員会は総務省内部の行政不服審査のための委員会だが、「法的拘束力がない通知への違反を除外の理由に出来ない」とし、総務省に是正を求めたのである。

この委員会の勧告に対して、総務省は除外を続けるという方針を発表した。当然だ。

泉佐野市長の「法に書いていない返礼品割合3割は、総務省の通知に過ぎないから拘束力はない」という論理は、自己本位の主張で、到底公の地位にある者とは思えない。

総務省の通知を待つまでもなく、公の地位にある者は、法の主旨に立ち返って本来の制度運用をすべきである。

訴訟になれば、泉佐野市と市長の自己本位の姿勢が明らかになるだろう。