走れメロスは第三者保障の典型-民法債権編の改正議論が続く衆議院法務委員会。

走れメロスは第三者保障の典型-民法債権編の改正議論が続く衆議院法務委員会。

法務委員会で連日、民法債権編の改正が審議されて既に30時間近い。

大きな改正項目は1)債務の保証制度、2)消滅時効、3)法定利率、4)約款の、四点だ。

とりわけ議論が集中しているのは、第三者が金銭債務の保証人になる時、軽率に保証しないことと、情誼によって保証人となることによって多額の債務を背負うことに対する懸念だ。

新たな民法改正案によると、保証しようとする人が第三者の場合には、公証人役場に出向いて公証人の前で口述することによって軽率性は相当除去できる。しかし人間関係や取引関係などで情誼に基づいた保証は起こりうるだろう。

それは契約の自由の範疇だ。

そもそも第三者保証の本質は情誼にある。その原典ともいうべき物語が太宰治著「走れメロス」という作品だ。

暴君を殺そうと思ったメロスが捕えられ死刑が言い渡される。3日間の猶予を下さい、遠く離れた妹の結婚式に参列したいと。暴君が帰ってこないだろうと言うと、必ず帰ってくると約束し、友人が保証人となる。まさに第三者保証だ。メロスは様々な困難を乗り越えて走りに走り、保証人となった友人を助けるために、そして自分が死刑になるために帰ってくる。

教科書にも載っている皆さんご存知の有名な「走れメロス」の友情と信義の物語だ。

結論は暴君がメロスの死刑を停止するハッピーエンドの物語だ。金銭債務ではないが、この小説は情誼・友情にもとずく第三者保証のリスクと、人間の動機を描いている。

民法は日々の生活の映しで、様々な人間模様なので、どこまで厳しく基準をつくるのか、自由な人間の営為はどこまでなのかを問いかけている。

生活の実態をみて、法律をつくることが大切だ。