この本が凄い『新書世界現代史』1989年ベルリンの壁崩壊以降の世界を描いている。プーチン、習近平、トランプに共通するキーワードはレコンキスタ(失地回復)。同時にグローバルサウスの台頭等新しい潮流もーそうか、そうだったのか1300円は安い
プーチンは1989年11月に東西ベルリンを隔てた壁が崩壊したことを目の当たりで見ていた。東独ドレスデンで諜報活動に従事していたが、迫り来る群衆を予感して機密書類の焼却を昼も夜も続けた。不動に見えた壁があっさり崩れた。
1991年8月ゴルバチョフが失脚し巨大なソ連邦が解体し15の国々に分割された時以来、プーチンはレコンキスタ(失地回復)、大ロシアの復活を目指している。ウクライナ侵攻は、その延長だ。
習近平は「100年国恥」5000年の歴史を持つ中国の最高権力者として、近代100年の欧米(日本を含む)からの侵略は「国恥」であり、晴らさなければならない。
トランプは、第二次世界大戦後アメリカが世界の警察官として世界秩序を担って来たこと。1989年以降、米ソ対立がなくなった以降も世界の警察官の役割を担って、国力を消耗してきたと考える。MAGAアメリカ第一主義はアメリカのレコンキスタ(失地回復)であり、さらに建国以来の白人の復活でもある。
そしてBRICSに代表されるグローバルサウスと呼ばれるアジア・アフリカの台頭にどう対峙するのかとも言う。
1955年バンドンで開かれたA・A会議以降、南の国は北との格差是正を求め続けている。
さらにポリティカル・コネクトネス(政治的公正性)に対して、本当にそれで良いのか、建前ではないのか、行き過ぎでないのか。宗教や民族を重視する伝統主義への復帰の潮流も指摘している。
レコンキスタ(失地回復)、グローバルサウス、ポリティカル・コネクトネス、伝統主義等の復活がキーワード、明快な現代世界の切り口だ。
読み終わって、ふと考えた。イスラエルの動きも2500年前のバビロンの捕囚によって喪失した古代ユダ王国の復活。レコンキスタか。
新書世界現代史
なぜ「力こそ正義」はよみがえったのか
川北省吾著
講談社現代新書(定価1300円)