「国語こそ国家。ユダヤ人は領土を追われて2000年、ヘブライ語を失わなかった~藤原正彦教授節、全開」

「国語こそ国家。ユダヤ人は領土を追われて2000年、ヘブライ語を失わなかった~藤原正彦教授節、全開」

今朝8時から、自民党政調教育再生本部で、お茶の水女子大学名誉教授・数学者・作家の藤原正彦先生から「国家社会の形成者の育成について」というタイトルでお話を聞いた。

・論理は、A→B→C→Dと発展していくが、スタートのAを間違えば正しく間違える。Aの設定を何にするかは、論理ではなく価値観でありその前提は教養

・教養は何によって身につくか?本を読む。国語力によって得られる。

・英語は方法であり、方法をいくら学んでも価値観は身につかない。母国語、とりわけ日本語の多様さは比類ない。恋という言葉でも無類にある。

・私は高校生の時英語コンテストで全国No.1になったが、アメリカに留学してわかったのは、当然だか自分の英語力はアメリカ人と比較するとたいしたことがなかった。

・英語が出来るだけではノーベル賞はとれない。ノーベル賞をとった人で、授賞式が初めての海外体験という人もいた。その人は授賞式の演説を日本語で行った。

・「早く読まないと大人になっちゃうよ」は講談社の少年向け小説本の宣伝だが、若い時に小説を読み、美しさ、苦難、弱い人、困った人に同情し、時には涙して助ける人に憧れる、こういう読書体験が教養の下地だ。

・アメリカは経済第一だが、ヨーロッパとりわけイギリスは学問でもビジネスでも教養が求められる。自分の国の文学や歴史を知らないと相手にされない。

・日本ほど学問の最先端の成果が日本語に翻訳されている国はない。だから日本の中で研究している人でもノーベル賞候補が出る。言葉の力だ。湯川秀樹先生は、祖父から漢籍を音読で学んだ。その時はわからなかったが、後になって役立った。

・日本の文学、数学、理論物理は世界トップだが、共通していることは情緒力だ。これらの学問が基礎台となって、工学、医学、生物学、法学等万般に及ぶ。

・日本の四季折々、自然は情緒力の基本だ。美しいものを見て、移ろいゆく季節や草花や生物の死に出会う。これが情緒力を生み教養になり、大局観が育つ。

・国語こそは国家。民族には多様の要素がある。大事なのは国語だ。ユダヤ民族が領土を追われ2000年も流浪したが、民族としてのアイデンティティはヘブライ語を話し続けたからだ。

経済界が教育に口を出すことの弊害や文部科学省が毅然とした態度をとることを要求し、辛辣な話かただが、祖国愛と教育にかける骨太の真実がある。藤原節、爆裂である。

藤原正彦先生は、今週号の週刊新潮で郷土愛を語っている。武蔵野市の住民で、私の30年来の友人でもある。