テレビに出演して主役に切られる役は実演家という。この人たちは怪我をしても何の保障もない。テレビ局や仲介者に対して役所がきちんと申入れして救済すべきではないか

テレビに出演して主役に切られる役は実演家という。この人たちは怪我をしても何の保障もない。テレビ局や仲介者に対して役所がきちんと申入れして救済すべきではないか

テレビに出演する主役級はプロダクションに所属して労災の適用を受けることが出来ます。ところが劇中に出演する多勢の無名の人たちは実演家と呼ばれるが、仲介者から声がかかり撮影現場にその都度駆けつける1日いくらの日雇い状態で労災の対象となっていません。

建設業などでは、職方は一人親方という制度があり雇用主兼使用者で労災保険に加入できます。建築関係は様々な職種があって建築工程に従って出番が回ってくる。職方は複数の現場を持っていて自分の出番が来ると現場に行って専門職として働く。労災保険の保険料は雇用主分と使用者分の合算で払います。職方の一日の報酬は労災保険料分を含めて設定されています。

テレビに出る実演家と呼ばれる人たちにも一人親方制度が適用されると厚生労働省は言うが、いつ出演依頼が来るか分からず、さらに出演料は労災保険料を含むと言えるほど高くはないので加入しないのが実態です。結局、怪我をしても泣き寝入りで保障がないのが現状です。

昨日3月25日に開かれた自民党政調競争政策調査会は自由な市場でフェアな競争が行われるよう監視し、様々な提言を行うことを目的としている。出席官庁は公正取引委員会をはじめ、厚生労働・国土交通・財務・経済産業・総務など各省にまたがる。

昨日のテーマは拡大するIT分野でアルゴリズムとAIが市場支配を強め、結果として自由な競争を阻害するのではという視点だったが、私はあえてテレビの実演家の実態を指摘し改善を求めました。テレビが第四の権力と言われるぐらい優越的地位を持っていて、その下で作品を制作するプロダクション、さらにその下で働く実演家が労災の適用も受けられないのは不合理だと思ったからです。 優越的地位の濫用は大手スーパーと納入業者等すべての分野であり、IT業界ではそれがシステム的に複雑多岐に渡っていて、海外も含めてこれからの大問題だが、その前に目に見える形でテレビ局の実演家に対する待遇を変えてもらう必要があります。

会議終了後、公正取引委員会の事務方の上級幹部と意見交換をしました。「労災は厚労省所管ですが、優越的地位の濫用という公正取引委員会の肝になる事例なので、強い立場のテレビ局にも積極的に物申して下さい。テレビ局に物申せるのは公正取引委員会ぐらいですよ」と申し上げました。