「橋下市長の次のターゲットは都知事選挙か~相当無理な改革を1万票差まで待ちこんだ力量は中々だ。」

「橋下市長の次のターゲットは都知事選挙か~相当無理な改革を1万票差まで待ちこんだ力量は中々だ。」

大阪市を解体して特別区を設置するというのは、相当無理筋の改革だ。東京都と比較してみれば良くわかる。

① 東京都は昭和18年大東亜戦争遂行中、戦時体制を固める目的で東京市と東京府が合併、東京都が出来た。

② この時の人口は旧東京市700万人、三多摩地域が60万人なので一種の合併に似ている。

③ 戦後、特別区制度が出来ず区議会が設置されて公選制を実施し、その後遅れて昭和50年に区長公選制が導入され、知事による任命制区長から住民の直接選挙で区長が選ばれることになった。

特別区のスローガンは「せめて市並みの自治権を!」である。橋下市長の大阪市解体、特別区設置は普通の市以上に権限を与えられた政令指定都市を普通の市より権限が低い特別区という「制限自治体」に分割設置することになる。

④ さらに大阪市には港湾管理者としての権限が与えられ、大阪市民は大阪湾の在り方について発言できるが、大阪市を解体すれば大阪府の権限になり湾に面した住民も発言権が薄まることは明白だ。

⑤二重行政の解消がスローガンだったが、東京都と特別区の間にも二重行政は多々にみられる。特に文化・スポーツの面では顕著。

⑥ 財政力は東京都が抜群で、47都道府県の中で唯一の地方交付税

の不交付団体だが、大阪府は交付団体、特別区に配分すべき財源は交付税から配分することになる。

冷静に考えると様々な問題のある制度改革(改悪?)にもかかわらず、大阪市民に期待を持たせ1万票差まで迫った橋下市長の能力と政治手法は抜群だ。選挙民には橋下氏が自分の損得を抜きにして、一身を投げ打って「改革」を進めるように見えるのだ。

このような「劇場型手法」がある程度成功するのは、議院内閣制ではなく直接選挙による大統領制の特徴だ。

橋下氏の印象は「敗けて爽やか」なので、捲土重来を期することは可能だ。最大の直接選挙は東京都知事選挙だか・・・。