台風15号対策、森田健作知事、対応に適格さを欠いていたのでは?―責任を与えられていない人間は、軽々に当事者の苦労を論評すべきでないのは承知で、敢えて述べます

台風15号対策、森田健作知事、対応に適格さを欠いていたのでは?―責任を与えられていない人間は、軽々に当事者の苦労を論評すべきでないのは承知で、敢えて述べます

台風15号が東京、千葉を直撃した。強風に注意との警報が度々気象庁から発せられていたが、千葉県の房総半島から中部にかけて数々の被害が発生した。とりわけ電気が二週間も止まって、日常生活や農業などに重大な影響が出ました。
台風15号の被災の特徴は、強風によって電柱や電気設備が破損し、停電が広範囲に発生し長期間にわたったことです。さらに大量の倒木により、復旧が遅れました。私も50年余にわたって、公務で災害対策に当たってきましたが、過去に類例のない停電の長期化です。

道路や山地の損壊や河川の氾濫などは、第一義的に行政が前面に出るのですが、専門性の高い電気の停電の場合、電気事業者が前面に出て復旧にあたるのが今日の仕組みです。東電は被害の全容を掴めず甘い見通しで住民に不安を与えたが、全国の電力事業者からの応援を受けて、全力を尽くしました。しかし無数の倒木などに阻まれて復旧が遅れました。
では行政の責任は無かったのか。一番の責任者は千葉県です。現状を把握して対策を立て、必要があれば自衛隊にお願いする。又、政府にも助けを求める。この責任者が県知事です。

通常の手順は次のようなものですが、きちんと出来たのかどうか。
①台風15号に備えて9月8日(日)にあらかじめ警戒本部を立ち上げ、状況に応じて災害対策本部に切り替える。この場合、知事が本部長である。
②9月9日(月)台風が去って明るくなると同時に、市町村から次々と被害状況が上がってきたはずです。
③停電が広範囲にわたった時点で県の対策本部に東電に来てもらい対応を確認する。
④被害の全容を掴むため、行政ヘリを飛ばして詳細に上から空撮する。同時に東電にもヘリがあるので、全容を掴むように指示します。
⑤上から見たデータを県の農林部門に点検させ、倒木の状況など可能な限り正確に掴む。
⑥東電の復旧能力を超えると判断したら、道路啓開に民間の力を借りると共に、自衛隊の出動を要請する(県知事の権限)
⑦現状調査と自衛隊の出動要請は遅くとも9月10日(火)までに完了してなくてはならない。
⑧電気事業は極めて専門性が高く危険性もあるので、東電、自衛隊、県の農林部門の統一指令部をつくり役割分担を明確にする。
⑨時に応じて民間の建設業等の力も活用する。市町村は身近な災害対応、救助、救援で精一杯でしょう。
⑩道路啓開など国交省のテックフォースにも要請する。

以上のような手順で知事、副知事がリーダーシップをもって体制を次々と築いていくことが大切です。それでもどこまで停電を短縮出来たか不明ですが、県知事の踏み込んだ対応があったのか否か、責任を果たしのか、今後に向けて十分検討されなければなりません。

私には森田知事のリーダーシップが欠けていたように思えます。
武蔵野市議、武蔵野市長、総務省、消防庁担当の大臣政務官、総務省副大臣の任期中に、長崎県眼鏡橋が破損した大台風(昭和57年)、普賢岳の噴火、阪神淡路大震災、中越地震、中越沖地震、東日本大震災、鬼怒川氾濫、熊本地震と様々な場面を体験してリーダーの責任の重さを痛感しています。