コンクリートから人へ。民主党政権時代に菅直人財務大臣は公共事業費を対前年比マイナス14%に減額。防災は公共インフラ整備そのもの。今回の衆議院議員選挙で首都直下地震対策などと主張しても信用できない

コンクリートから人へ。民主党政権時代に菅直人財務大臣は公共事業費を対前年比マイナス14%に減額。防災は公共インフラ整備そのもの。今回の衆議院議員選挙で首都直下地震対策などと主張しても信用できない

首都直下地震対策は港湾・河川・道路等の強靭化や旧耐震基準の古いビルの更新、木造密集地域の解消など、まさに都市計画事業そのものです。しかし、2009年から3年3か月の民主党政権では公共事業を敵視して、コンクリートから人へ予算配分をと主張し、当時鳩山内閣の財務大臣だった菅直人さんは2010年に対前年比14%大幅減の予算を組みました。これで、中小の建設業は先行き真っ暗。息子には事業を継がせられないと廃業したところが相次ぎました。

皮肉なことに2010年年末から2011年1月にかけて全国各地で大豪雪が続いたのです。民主党政府は特別地方交付税や内閣府の災害対策費を増額して各市町村に交付しました。ところが、豪雪市町村が国の補助金で除雪費用を予算化しても地域の土木建設業が執行できなかったのです。市町村の担当者が「貴方の会社にはブルトーザーがあるのでは?」尋ねると「あれは中古市場で売却した。今頃は中国に行ったんじゃないの」との会話も報道されました。

2009年に八ッ場ダムを中止した民主党の前原国土交通大臣(当時)。群馬県・埼玉県・東京都の関係市町村長をはじめ、関係団体の強い働きかけで中止を取りやめ工事を再開し、2019年に10年ぶりで完成した。2020年7月に全国で梅雨前線の長期停滞で大豪雨災害が発生したが、八ッ場ダム完成のおかげで下流域への負荷が軽減され、大きな被害が出ることもなかった。

一方、九州の熊本県の川辺川ダムは、当時蒲島郁夫知事が反対を表明。民主党政権が川辺川ダム建設を中止した11年後の2020年7月の豪雨で氾濫し、約6100戸が浸水。60名以上の犠牲者がでた。

当時 “山に木を植えて保水力を高め、緑のダムを作れば、人工のダムはいらない” とたびたび宣伝された。全く検証されていないスローガンだった。

政治の責任者は土木工学・気象学等専門家が積み上げてきた総合的な所見に基ずく防災対策をきちんと受け止めて、揺るぎない判断をしなければならない。格好良いスローガンだけで政治をやるのは、危険で無責任極まりない。

自民党は時には失敗もするが、可能な限りリアリティのある責任ある政策を打ち立てて実行する。立憲民主党との決定的違いはそこだ。

菅直人さん、国民生活に根っこをおいたリアリティのある真面目な政治をしてきませんでしたね。