不正統計で実態より低くなってしまった労災や失業給付を是正せよが野党の主張だったのがいつのまにか官邸の介入で高く見せようとしたと180度の逆方向の批判に

不正統計で実態より低くなってしまった労災や失業給付を是正せよが野党の主張だったのがいつのまにか官邸の介入で高く見せようとしたと180度の逆方向の批判に

毎月勤労統計は500人以上雇用する全国5,266の事業所を全数調査、それ以外は一定のルールで抽出調査して全国平均の給与水準を出す。ところが全国5,266の事業所のうち、1,464が都内にあり、その1,464の事業所を1/3の491サンプルを取り出して抽出調査に平成15年頃から変わっていた。東京都内の事業所の給与水準は地方より高いから、1,464が491になれば当然平均は下がることになる。1/3調査でもそれを3倍すれば全数調査とほぼ同じ水準が並ぶことになり統計上有意な数字が出るだろう。ただし掛算で3倍しても、全数調査を定めた統計法に違反した不正調査だ。 野党も当初は厚労省の不正調査を組織的隠ぺいだと批判していたがそうだとすれば、民主党鳩山内閣で長妻厚労大臣がいたが、彼も組織的隠ぺいにかかわったことになる。実態は数の多い都内事業所から「全数調査のようなこんな面倒なことを毎月やらせるのですか。サンプリングに変えてくれませんか」等の注文があったのではないかと推測する。当時の厚労省の中間管理者が「まあやむを得ないか」と判断したのが真相に近いのでは?大臣や局長等首脳部が関わっていたとは到底思えない。何故なら大臣や局長は国会答弁をする立場だ。違法を承知でOKを出すはずがない。 発覚以降一ヶ月余論点がずれてきて、野党の主張は「アベノミクスの成果を出すために、調査のやり方を変えて水準が高くなるよう介入したのだろう」と変わってきた。統計法を所管し、各省の統計をまとめていた総務省副大臣の経験から言えば、実態を正しく反映するために統計の取り方をどうするかはいつも議論している。 各省にわたることだが記憶にあるところを言えば、 ➀公務員の給与を決める人事院勧告の基の調査を、人事院は100人超の事業所から50人超の中企業まで引き下げた。当然水準は下がる。地方には大企業がないところが多く、中企業まで対象を下げないと地域の給与水準に合わないという批判に応えた変更だ。 ②消費者物価統計など、大都市で一人暮らしの勤労者が多くなると、一人暮らしのサラリーマンが日常よく使ったり食べたりすような品目に入れ替えないと、実態に近い物価が出ないので品目の入れ替えを行う。統計とはそういう性格のものだから財務大臣や総理秘書官の一存で左右されるものではない。 もしそのように野党が主張するとすれば、統計の性格や実態を知らないか、知っているとすれば印象操作だ。私は武蔵野市長を22年やっていたので国勢調査等を受託する立場にいて、その後国会に行って総務副大臣も経験したので両方の現場がわかる。野党の皆さんにお願い、是正すべきはさっさと是正し、もっと差し迫った大事なことを議論して頂きたい。