トランプ大統領の中東に対する思いを忖度すれば、米国のエネルギー事情は中東に依存していない。ホルムズ海峡船舶警備など受益国が費用負担すべきだ、か?

トランプ大統領の中東に対する思いを忖度すれば、米国のエネルギー事情は中東に依存していない。ホルムズ海峡船舶警備など受益国が費用負担すべきだ、か?

米国はイランの核開発をはじめ石油施設への攻撃など紛争の続く中東に抑止力として空母やB52爆撃機等派遣しプレゼンスを強めている。

その中にあってホルムズ海峡で6/13に日本籍タンカーへの攻撃や各国タンカーや商船への攻撃などが起こった。そこまで米国は面倒見切れないぞ、とトランプ大統領はイラク戦争を思いだされる「各国の有志連合」を主張した。

さずがにこの呼称は刺激的すぎると思ったのか、その後7月以降「海洋安全保障イニシアチブ」を提唱し、国際海洋安全保障構成体を設立した。参加国は英国・豪州・サウジアラビア等6か国だ。フランスは欧州イニシアチブ、インド等は独自の平和と安全の取組みを続けている。

我が国の立場はどうか

① 中東の原油の最大の受益国であり、エネルギーや石油化学工業の原材料として海洋安全は必須だ。

② 日本はこの地域の平和と安全に何も貢献しない、タダ乗りだと言われても困る。

③ しかし米国のイニシアチブの下に活動すれば、イラン等と敵対する可能性がある。

④ 現在、海賊対処法に基づいて護衛艦を派遣しているが、海賊なら対処出来るか。6/13の日本籍タンカー攻撃の主体が、海賊でなく他国の正規軍による攻撃だったら事態が全く異なる。警察行動を超える交戦状態も想定される。

⑤ 日本とイランとの間には長年にわたる友好的関係があり、安倍総理がイランを訪問した6月12~14日はロウハニ大統領だけでなくハメネイ最高指導者とも会談した。西側各国の数少ない指導者である。

⑥ これらのことを総合的に考えると、米国のイニシアチブに参加しないで、独自の立場で中東情勢把握のための情報収集活動として、海賊対処とは別な枠組みでヘリ搭載の護衛艦を派遣することにすると、政府は考えたのだ。

根拠法が自衛隊法ではなく、防衛設置法だからスッキリしないところもあるが、現地の緊張を高めないためにも止むを得ない措置だと思う。

なお、必要に応じて日本船舶を守るために、自衛隊法に基づく海上警備行動に切り変わる可能性もある。