日野市長の違法行為を認め、市長に2.5億円の損害賠償を求める最高裁判決。ゴミ処理場に必要な搬入道路を都市計画の変更なしに造ったことで

日野市長の違法行為を認め、市長に2.5億円の損害賠償を求める最高裁判決。ゴミ処理場に必要な搬入道路を都市計画の変更なしに造ったことで

先週9/8に注目すべき住民訴訟の最高裁判決が下されました。

東京都日野市に日野市・国分寺市・小金井市の三市共同でゴミ焼却場を造りました。ゴミ焼却場は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」によって定められた市民生活に不可欠の公共施設であります。この施設は当然、都市計画決定して区域を定めました。同時にゴミを搬入するための専用道路を設けました。この道路は都市計画公園の中の一部を利用して造りましたが、都市計画の変更はしませんでした。

日野市側の主張は「このゴミ処理施設は30年間使いますが、30年間という一時的使用なので、都市計画変更は必要ない」という見解でした。

しかし、住民側は「都市計画の変更なしで専用道路を造ったのは違法なので、工事などにかかった費用を市長は市に返すように」と損害賠償請求の住民訴訟を起こしたのです。

一審二審で市が敗訴して、最高裁の判決は「不受理」と決定し、住民の損害賠償が認められたのです。行政権を行使する立場の市長にとって、厳しい判決です。

① 市民生活に必須なゴミ焼却場を造る(都市計画決定済)
② 当然搬入道路は必須だ 
③ しかし、いくら必須の道路であっても、手続きをきちんと取らないと違法であり、損害賠償の責任が市長に生ずる。

つまり「やっていることは正しく、市民のためになるとはいえ、法に基づく権限を行使する以上は、法に基づいて正当な手続きを取ることが必要。目的がよくても、手続きが間違っていれば違法」という判断です。いわゆる「デュープロセス」を重視した判決です。

権限を与えられた“公人”市長等は、公権力行使にあたって手続きもしっかり行い、裁量権を濫用してはならない。という最高裁の判示であります。

地方自治体に与える影響は、極めて大きいといえます。