与謝野馨先生のお言葉~税制で一番大事なことは、モラルです。

与謝野馨先生のお言葉~税制で一番大事なことは、モラルです。

私は、12年前に小泉純一郎首相にリクルートされて、武蔵野市長を辞職して総選挙に立候補、衆議院議員となり永田町生活が始まった。

 その時、当選した新人議員の研修が、連日自民党本部で開催された。与謝野馨先生は税財政の第一人者で、2時間ほど講演を拝聴した。

 席上、研修生のひとりが質問をした。「税で一番大事なことは何ですか?」与謝野先生は一瞬考えて「それはモラルです」と明快に言い切った。

 市長として地方税のことは、多少知識はあったが国家全体の税制を考える機会がなかったので、この答えが唐突であると共に非常に新鮮に感じた。

 その後10余年が経過し、毎年自民党の税制調査会に出席し発言していると、この言葉の重みが実感出来る。

 税は国家運営の財源として、国民の所得や資産に課税し、強制的に負担してもらうのだから、人間生活に深い洞察を持つと同時に高い倫理観が要求される。

 不公平でないか、不正義ではないか、負担能力は?等々。厳しい自制が要求される。時には業界等の圧力に押されることがあるが、不公正と思えばお断りしなければならない。結局、税制を担う人のモラルが大切なのだ。

 与謝野先生がご逝去されたことが、5月24日に発表された。歴史に残る政治家与謝野馨先生のご冥福を慎んでお祈りいたします。