「中国は米国テキサス州の米国国立太平洋戦争博物館まで手を伸ばし、歴史改ざん・日本叩きをやろうとしている」

「中国は米国テキサス州の米国国立太平洋戦争博物館まで手を伸ばし、歴史改ざん・日本叩きをやろうとしている」

昨日朝、自民党政調外交・経済連携本部・国際情報検討委員会で、米国テキサス州フレデリックスバーグ市にある米国国立太平洋戦争博物館の渉外担当員から報告があり、中国系団体及び在米中国商工会議所等から同博物館に対して、中国政府の主張に添った展示をするよう度重なる要請が行われているという。

この博物館は米国国立博物館であるが、日本を一方的に悪者にするような展示ではなく、極めて客観的フェアな展示をしている。

フレデリックスバーグ市はテキサス州都オースティンの近くにある人口一万人の小さな市だが、太平洋戦争当時の米国連合艦隊司令官ニミッツ提督の故郷であり、ニミッツ提督記念館が建立され、それが年月を経て今日の米国国立太平洋戦争博物館となった。

ニミッツ提督は、ハイレベル軍人特有の冷静かつ客観的能力に優れ、フェアな人物だったようで、だからこそ米国海軍の最高責任者に任命されたのだろう。陸軍のマッカーサー元帥と並んで、米国の英雄である。マッカーサー回顧録にも度々ニミッツ提督に感謝する記述が出てくる。

実は、私は1988年この記念館を訪れた。当時は木造三階建の小さなミュージアムだったが、展示物と記述内容が一部原爆投下の理由を除いて、日本人の私も十分納得できる極めてフェアなもので、爽やかな印象を受けたことを昨日のように思い出す。

ニミッツ提督は日露戦争の帝国海軍司令官・東郷平八郎元帥を軍人として尊敬していて、日本に駐在していたとき東郷元帥の葬儀に参列していたことを、生涯誇りにしていたほどである。

ニミッツ記念館には東郷平八郎元帥の巨大な肖像画が掛けられ、軍刀まで飾っていた。さらに、日露戦争の日本海海戦の旗艦「三笠」が太平洋戦争後、日本が敗戦の混乱時にスクラップされそうになったことを知り、当時の文芸春秋に寄稿して「三笠」の重要性を広く訴えると共に、自著の印税を「三笠」の保存に拠出した。まことにフェアな最高級海軍軍人なのだ。

その心は「軍人だから命に従って日本と全知全能で戦う、しかしその背景にある情勢分析や日本の置かれた立場、日本の戦いぶりは歴史のなかで冷静に評価する」だった。博物館の展示や記述がフェアなのは良くわかる。

その米国国立戦争博物館に中国の執拗な働きがけがあり、歴史改ざんの波が押し寄せているという。

中国は「日本帝国主義は中華人民共和国が打倒した」と主張しているが、1945年日本が降伏し、当時の戦勝国として位置づけられたのは蒋介石率いる中華民国(現台湾政権)であり、これが歴史の真実なのである。

中国が全世界、とりわけ米国で行っている対日宣伝戦の一つがニミッツ記念館・現国立米国太平洋戦争記念館に及んでいるのだ。

中国系団体は博物館のパブリックスペースを借りて中国の主張に添ったパネルを展示し、来館者にアピールを繰り返し行っている。また博物館学芸員に北京までの無料航空チケットを招待状付きで送るなどの働きがけが続いており、同博物館長は学芸員が調略されるかもしれないという危機感を抱いているという。

そこで同博物館館長は「日本の立場をはっきり述べないといけない」と危機感をもって岸田氏を渉外担当に任命したという。岸田氏はほとんど無給で本来の仕事のかたわら、役割を果たしているという。

素晴らしい日本人とニミッツ記念館の皆様だ。外務省はただちに現地を調査することとし、ヒューストン総領事館から職員を派遣することとなった。

ニミッツ提督のようなフェアな人物がたくさんいることが米国の力の源泉である。日本も大いに見習うべきである。