武蔵野市子どもの権利条例。国連の「児童の権利に関する条約」を「子どもの権利条約」と読み換えている

武蔵野市子どもの権利条例。国連の「児童の権利に関する条約」を「子どもの権利条約」と読み換えている

国連で採択された条約は、英語とフランス語が公文として公布されます。国連加盟国は条約に署名、締約国となると各国の言語に訳して、日本の場合は国会の承認を受けて成立、発効します。

日本では、外務省と内閣法制局が合議して正式な日本語の訳文を作り、最終的には内閣が閣議決定して日本語による“条約”となり、国会に提出され、審議、可決承認されて成立します。

国会で可決、成立した条約名は「児童の権利に関する条約」です。ところが、去る2/14に武蔵野市議会に付託された「武蔵野市子どもの権利条例」には、前記“条約”を第1条で「子どもの権利条約」に読み換えるという記述になっています。
第1条 この条例は、児童の権利に関する条約(平成6年条約第2号。以下「子どもの権利条約」といいます。)、・・・
国権の最高機関であり、唯一の立法機関の国会で定めた国連の条約名を勝手に変更するとは、法秩序を無視し、法の支配を否定しています。

さらに、国連の「児童の権利に関する条約」と、武蔵野市が読み換えた「子どもの権利条約」との間には、明らかな差異があります。“関する”が抜けているのです。

国連の条約の内容は“子どもの権利”だけではなく、権利を保障するため、条約を締結した国の責務を具体的に記述しています。出産・養育・社会保障・教育・過重労働制限・性的搾取からの保護をはじめ、犯罪から守ること等の具体的な“児童の権利を守る仕組み”が記述されています。

市が勝手に子ども権利条約などと読み換え、さらに内容まで実質的に変更しているのに“国連の条約”を基にして“条例”を作りましたと説明するのは、市民に誤解を与えることを意図したのですか?