大村智、ノーベル医学・生理学賞の自伝を読む。真に偉大な人とは、こういう方を指すのだろう

大村智、ノーベル医学・生理学賞の自伝を読む。真に偉大な人とは、こういう方を指すのだろう

ご著書「ストックホルムへの廻り道」が志帥会の政治記念パーティーの記念品として配布され、三週間読了した。

地方国立大学の山梨大学を卒業後、定時制の教師をやりながら研究に打ち込んでゆく。信念をもって粘り強く目標を立て、普通の研究者の何倍も努力の日々だ。
そして大村先生を早くから研究者として評価し、チャンスを与えてくれる人にも恵まれてアメリカに渡り一歩一歩研究を進めていく。
北里研究所を本拠地に米国の大手製薬会社と連携し、研究資金を自らの努力で獲得し、さらに研究を加速する。
特許料に関してもシビアに検討し、成果があがるだろうと思われるものは分配率をあえて空白にし、その時決めるという徹底ぶりだ。特許に無関心な日本人研究者も多いが、自ら自己実績を評価し、創業した時の分配まで、自分で契約してしまう。そして圧巻はノーベル賞の対象となったメクチザンの創薬だ。アメリカで2億人が河川盲目症(オンコセルカ症)の治療薬として投薬され、劇的効果をもたらした。
WHOからの要請に製薬会社のメルク社が無料で提供するのも凄い。メルク社は利益追求の株式会社だが、他の薬とトータルで営業利益が出ればよいという方針なのだろうが、これまた良い話だ。
大村先生は研究者として超一流なだけでなく、特許をめぐるマネージャーとしても一流、北里研究所及び病院の組織管理者としても超一流だ。

これら多方面にわたる超人的な活躍された大村を支えたのが、長年の伴侶、文子令夫人とのこと。ノーベル賞の授賞式には文子令夫人の遺影を抱いて臨んだという。日本が誇る超一流の人物が、ここにいらっしゃる。感謝感謝。