吉祥寺の商店街の人が来て語る。「コロナでパニックになった昨年5月、地主のお寺さんが地代を一年間割り引いてくれて本当に救われました。土屋さんが働きかけてくれたお蔭です」ー私は、お寺さんが吉祥寺を思う心から出た篤志です、と答えた

吉祥寺の商店街の人が来て語る。「コロナでパニックになった昨年5月、地主のお寺さんが地代を一年間割り引いてくれて本当に救われました。土屋さんが働きかけてくれたお蔭です」ー私は、お寺さんが吉祥寺を思う心から出た篤志です、と答えた

長島昭久頑張れと陣中見舞いに来ていただいた吉祥寺の中心商店街の会長が私の事務所に寄られて、本日、表題のようなお礼を言われた。

吉祥寺駅周辺の中心商店街の土地は、駅の北口にある三つのお寺さんが所有している。ビルのオーナーは地代を払い、建物を立ててテナントに貸しているという図式だ。コロナ禍でお客が90%減になったテナントはビルのオーナーに家賃値下げのお願いをした。ビルのオーナーは、飲食・物販のテナントの苦しいのは理解するが地代の負担も大きい。窮地に立ったビルのオーナーの何人かから、お寺の地代を何とかしてもらえないかと私に相談があった。

私は借地権者でもないし、現役の政治家でもないと思った。しかし、借地しているビルのオーナーは地主のお寺に交渉に行くのは、はばかれる。「なんとか」とお願いされた。そこで私は、地元の借地権者の代表と一緒に三寺にお願いに行った。三寺は各々1時間半にわたって時間をとってくれた。しかし、借地契約は民・民の契約なので地代について第三者の私があれこれ申し上げる訳にはいかない。

そこで、戦後の吉祥寺の発展の歴史を申し上げ、お寺さんとの協力があって街づくりが進んだこと。さらに飲食・物販などテナントが活躍して吉祥寺の人気が高まったこと。これからも力を合わせて良い街を作りましょう。お力を貸して下さいと縷々申し上げた。もちろん地代の値下げなど、僭越なことは一言も申し上げなかった。

私が訪問して1週間後、5月下旬に三寺は各々4月に遡って1年間地代を20%引き下げると借地人に通知した。武蔵野市は二人の副市長の働きによって、都市計画税を1年間半額に下げた。

借地人のビルオーナーが言った「戦後初めてのことで信じられなかった。テナントさんに家賃値下げを通知したら、救われたと涙を流してました」。地元の不動産業の人が語る「地代値下げで街が明るくなった。吉祥寺から撤退した人もいるが、どうなるんだと浮足立っていた人が落ち着いた」と話している。

あれから1年半経ったが、当時のことでお礼を言われると面はゆい気持ちだ。「これからも公に役に立つことは、やりますよ。ところで、長島昭久さんをよろしく」と申し上げた。