全国初のコミュニティーバス、武蔵野市のムーバスが30周年を迎える。延べ利用客数6000万人。全国1741市区町村のうち、1412市区町村に普及し、各地の市民の足となっている

全国初のコミュニティーバス、武蔵野市のムーバスが30周年を迎える。延べ利用客数6000万人。全国1741市区町村のうち、1412市区町村に普及し、各地の市民の足となっている

住宅街の細街路を走る小型乗合バスのムーバス。200m間隔にバス停があり、自宅から5~6分歩けば乗れる生活密着型のバスだ。きっかけは吉祥寺南町に住む高齢の女性から来た市長宛の手紙だった。「私は足が悪いので、吉祥寺に買い物に行けません。何とかしてください」と書いてあった。

武蔵野市は東西6km南北2kmのコンパクトな市でJR中央線の駅が吉祥寺・三鷹・武蔵境と3駅あり、各々1日数百本のバスが発着しているので交通便利と考えていた。ところが各々の駅から500m、1000mと円を描いてみると、その円の外にいる人が大勢いることに気がついた。そこで、人間は“動”物だ。動くことは基本的権利だと考え、何とか市民の期待に応えようと検討を始めたのである。

問題提起から5年、国や警視庁の全面的支援を受けて、さまざまな難問を乗り越え、平成7(1995)年11月26日に吉祥寺駅を出発点とする東廻り路線がスタートした。現在では市内3駅から7路線で1日8000人が利用する生活密着型のバスネットワークとなった。30年間で6000万人超が利用している。武蔵野市から始まったコミュニティバスは全国に拡がり、1412の自治体で運行されるようになった。

30周年を記念してイベントが開かれる 
令和7年11月26日(水)
第一部 11時~ 吉祥寺駅北口広場 記念式典
第二部 13時~ 吉祥寺コピス前  新型電気バスのお披露目 
第三部 18時30分~ 武蔵野公会堂  
シンポジウム「運行30周年を契機に考えるムーバスのあり方」

なお、30周年を記念してムーバスデザインのオリジナルトミカが売り出される。