「自民党をぶっこわす」ー小泉純一郎、「戦後レジュームからの脱却」ー安倍晋三、二人の傑出したリーダーが21世紀の自民党を引っ張った。“55年体制”の構造は、すでに変化していたのだが
自民党は結党70年を迎えた。スタートした昭和30(1955)年は敗戦後わずか10年、サンフランシスコ条約による再出発から3年余りで世の中は戦災復興と豊かさを求めて沸き立っていた。産業は農業・商業・ものづくり工業が中心で、地域社会の絆もあり、活力にあふれていた時代に自民党は政権党として活躍し続けた。
しかし、その間に徐々に産業構造の変化が起こり、さらに社会構造の変化が追いかけた。減反で農業の人口は減り、高齢化が進み、機械化農業に。スーパーとコンビニで生業としての商業は衰退した。ものづくり工業は情報化へ変化した。ウォークマンで成功したソニーは、今はエンタメが主たる収入だ。ケイタイ・スマホの登場で人々は「一人テレビ局」になった。
55年体制を支えていた産業や社会の構造の変化は、自民党の支持母体の変化でもある。
1993年日本新党の細川総理が誕生し、その後、自・社・さきがけ連立という離れわざの後に自民党は再び政権に復帰したが、その後も産業と社会の構造変化は進み続けた。
自民党は危機を迎えているのだが、21世紀になって小泉純一郎総理と安倍晋三総理の二人の傑出したリーダーが出現し、政権を維持し続けた。小泉純一郎さんのスローガンは「自民党をぶっこわす」。ワンフレーズで国民の気持ちを掴むことの天才だった。
安倍晋三さんの主張は「戦後レジュームからの脱却」だ。歴史修正主義者と批判されたが、1989年11月9日のベルリンの壁崩壊をきっかけに、1991年ソ連邦が解体し、米ソの支配による「戦後レジューム」は、すでに解体しているのだ。安倍さんは北朝鮮に対する断固たる態度と中国に対するけん制と日米同盟の強化で人々の気持ちをつなぎ留め、選挙に連勝し続けた。
しかし55年体制は終わったのだ。このことをきちんと受け止めないと、自民党の解党的出直しは成功しない。