洋上風力発電は、再生エネルギーのエースになるのか。有望海域での漁業との調整は、つくのだろうか。

洋上風力発電は、再生エネルギーのエースになるのか。有望海域での漁業との調整は、つくのだろうか。

海には常時風が吹いています。その風を利用した風力発電は再エネのエースだという論調を多くみるようになりました。

確かにソーラー発電は雨・雪・夜間は発電が出来ず、15%程度の稼働率です。それに比較すると、海は期待がもてると我々普通の国民は考えます。現に、2018年12月には再エネ海域利用法が成立して翌年施行され、千葉県銚子市沖や秋田県能代市沖など4か所が有望海域として指定され、事業が始まりつつあります。一方、漁業との調整は、どうなっているのでしょうか。

8/29に海事振興連盟・海洋立国懇話会主催の漁業者の立場からの講演があるときいて参加しました。

元水産庁長官は洋上風力発電は必要としながらも、次のように語りました。
① 洋上風力では着床式や浮体式いずれも漁礁効果があり、魚の増殖には期待がもてる。しかし、漁法によっては調整が難しい。
② カツオの一本釣りやイカ釣り、刺し網、棒受網は調整が可能。
③ 漁業のうち一番調整がとりにくいのは、巻き網・底引き網・浮延縄漁だという。
④ 巻き網漁は周囲2km、深さ200~250mにおよぶ。近海マグロを獲る延縄漁の縄の長さは200kmにおよび、洋上風力発電が出来れば、調整は困難。

さらに、会場で漁船6500隻のAIS(船舶識別信号)を解析した図が配布されましたが、日本列島をめぐって、太平洋・日本海各地で漁船が操業している様子がわかります。これとバッティングしないように洋上風力発電を進めるとすると、相当緻密な調整が必要になることがわかります。

結局、自然エネルギーを利用する再生エネルギーは総論だけでは前に進めません。スローガンではなく、各論が必要だと思います。ソーラーは農地や森林との取り合い、洋上風力は漁業との取り合いです。

この講演会には自民党東京18選挙区(武蔵野・小金井・西東京)支部長の福田かおるさんも参加しました。