日本の平和主義の大きな変化一国平和主義から他国の平和に関与する義務へー毎日新聞7月27日コラム「金言」西川恵客員編集委員

日本の平和主義の大きな変化一国平和主義から他国の平和に関与する義務へー毎日新聞7月27日コラム「金言」西川恵客員編集委員

毎日新聞はコラムが秀逸だ。旧聞になるが、平成30年7月27日(金)三頁総合のコラム、「金言」で西川恵客員編集委員の記事が納得し強く印象に残る。

8月広島、長崎の原爆忌を始め日本の平和主義の原点を明確にする季節だ。

10年前位まで、欧米の外交官が強く印象づけられたのが日本社会の平和主義

核廃絶への圧倒的支持 防衛費増や武器輸出に対する拒否感、権力政治へのアレルギーなど、権謀術数のマキャベリ的な政治こそ、政治の本質とみる欧米の外交官はナイーブと映った。

欧米では平和主義は、敗北主義、追従主義につながると受け止める。

それに対して私(西川氏)は戦争の惨禍を味わった日本人は戦争につながる記憶(国防、軍事、兵器、権力)に強い拒否感があると説明してきた。

近年日本人の安全保障観を大きく変えたのは尖閣諸島問題、北朝鮮の核ミサイル開発等だ。

尖閣は「ここは日本の領土」と主張していれば領土が保全できるわけではなく、巡視船の物理的な力で守っている。

北朝鮮のミサイルは日本の上空を飛び越えて軍事的脅威をじかに見せつけた。

その前から変化はあった、北朝鮮による日本人拉致問題、また冷戦時代、韓国の金大中事件など権威主義的体制を批判する一方、同国が西側世界の防波堤となっていた事項、日本は守られていることにあぐらをかいていたのではないかとの反省

自分の国が平和でありさえすればよいという一国平和主義は行き詰った。

平和は広く国際社会の理解と協力を得なければ維持できない

そのため日本も他国の平和に関与する義務があることを教える。

同じ平和主義でも内実は大きく変わりつつあると結んでいる。

1行13字16行5段組み 約1,000文字ショートコラムだが時代の変化を完結にまとめていて素晴らしい。8月平和を考える季節。大勢の国民も読んでほしい。毎日はコラムが秀逸だ。