両足に障害がある人は歩行が遅いので、開閉の早い駅のエレベーターは危険で乗れない。ーだから階段を必死で歩く
数日前に、三鷹駅のホームから登った改札前のデッキで、壁に手をついて荒い息をしている人に遭遇した。両足が麻痺しており、片手で杖をついて肩で息をしている。心配になって距離をおいて見守った。
しばらく息を整えていたが、また歩き出しSuicaで改札を出た。両足が不自由なので歩行がおぼつかない。身体全体を使い、必死に歩く。姿は凛として、人を寄せ付けない強さが漂っている。
やがて、ドラックストアに入った。商品棚に手をついて、下段から商品を取ろうとしている。棚が揺れる。棚の反対側の通路からレジに行って、足の悪いお客様がいると店員に伝える。若い女性が対応。
その後、南口のデッキに出た。すると、不自由な両足を引きずりながら片手で杖を持ち、もう片方で手すりをしっかり握り階段を下り始めたのには驚いた。
わかった、杖を1本しか持っていないのは片手で階段の手すりを握るためだったのだ。
そうか、エレベーターを使わないのは、開閉が早いので危険で乗れないのだ。だから下りの階段をマイペースで凄い努力で下るのだ。そうして考えると、ホームからエレベーターを使わずに階段を一歩一歩上がって来たのだとわかる。だから息を荒げて休息していたのだと気がついた。
時間をかけ階段を下りきり、横断歩道を渡り、さらに時間をかけてタクシー乗り場へ。そこへ乗りやすいオリンピック仕様のセダン型タクシーが来た。よかった、これで一安心。
途中でバスを待っていた女性が「あの方、たまに見かけるのです。独りで頑張っていらっしゃる。ただ、見守るだけですけど」と。
改札前のデッキからタクシーに乗るまで、随分かかった。この方は毎日、全身を震わせながら通勤しているのだろう。
安易な口出しや手助けは禁物だが・・・。出来るとしたら、バリアフリーのエレベーター用に、ゆっくりと開閉するボタンがもう一つあってよい気がする。
ハンデを背負いながら、雄雄しく頑張る人を見た。
粛然と吾が身を振り返った。
改善が出来ないか、関係機関に働きかけよう。