ノーベル生理学・医学賞受章 大隈良典先生が強調したこと~研究者の知的好奇心に基づいて、自由に研究出来る環境を整えて欲しい

ノーベル生理学・医学賞受章 大隈良典先生が強調したこと~研究者の知的好奇心に基づいて、自由に研究出来る環境を整えて欲しい

・私がオートファジー(自食作用:細胞内におけるリサイクリング機能)の研究に取り組むようになったのは、1976年米国で酵母のDNA複製細胞増殖制御の研究に携わったのがきっかけです。

・1988年酵母細胞のオートファジーを発見し、1997年オートファジーの分子機構を解明し、高等動植物への展開した。

・酵母を栄養飢餓にさらすと、細胞質の一部がオートファゴソームという膜等に包み込まれ、種々の分解酵母を含む液胞に運ばれて分解されることを発見した。

・生命は、タンパク質の合成と分解の平衡によって支えられる。

・飢餓は自然界で最も頻繁なストレスであり、自己のリサイクルは生存に必須の過程である。

・分解は受動的ではなく、能動的な過程である。

・オートファジーは異物を除去し、細胞の中をきれいにする役割を果たしている。様々な生命現象に重要な役割を果たし、多くの病気と深くかかわることが急速に明らかになっている。

・この分野は、日本が世界でリードする数少ない領域だ。

等々と研究の成果を簡明に語っていただいた。

そして、

①  自分は幸せな研究環境にいた。20年前は余裕があった。

②  基礎科学はすぐ役に立つのではない。研究者が知的好奇心で真理探究する。

③  競争的科学研究費が増えると成果を出すために、流行(はやり)の研究を追うようになる。大学の研究環境が劣化している。

④  誰もやらない分野でも挑戦して、流行(はやり)をつくるような研究をして欲しい。

と大学での研究の現状に警告を発し、若者へのメッセージとして、

・自分の興味、抱いた疑問を大切にしよう。

・論文やあふれる情報からではなく、自然、現象から出発しようと9項目の提言をされた。

20年後、30年後にノーベル賞受章者が出るかどうか、基礎研究の環境を整えることが重要だと改めて実感した。

大隅先生