「『米ソ冷戦期にもソ連の戦略爆撃機などの脅威と対峙してきた』と柳澤元官房副長官補-尖閣等の日々の領海侵犯に目をつぶった討論だ。」

「『米ソ冷戦期にもソ連の戦略爆撃機などの脅威と対峙してきた』と柳澤元官房副長官補-尖閣等の日々の領海侵犯に目をつぶった討論だ。」

昨日NHKの安保法制をめぐる討論で、柳澤協二元官房副長官補が、我が国を取り巻く安全保障環境の緊迫した状況は冷戦時代もあったとソ連爆撃機の領空侵犯を例に挙げているのを聞いて、賛成派と反対派の議論が噛み合わない本質を見たような気がした。

冷戦期は米ソのスーパーパワーが拮抗していただけに、かえってパックスルソーアメリカーナ(米ソによる平和共存)といわれて安定していたのだ。ソ連機の日本領空侵犯もいわばセレモニー化していたのである。

東西陣営の正面衝突が安全保障上の最大リスクであった冷戦が終わって四半世紀が経過した。今は日本海を挟んだ北朝鮮が核ミサイルを持ち、中国が空母まで持って尖閣諸島に日常的に領海侵犯をしてきているのだ。柳澤氏のセピア調の時代認識は現役を引退した人の特徴か。

また、百地章・日大教授(賛成派)から水島朝穂・早大教授(反対派)への「自衛隊は違憲か?」との問いに、水島教授は「その通り」と答えたのには驚いた。

これでは討論が噛み合わないわけだ。