「行政機関が持っている個人情報を加工、匿名情報にして民間に使わせてよいのか。国民の国家に対する信頼を突き崩すことになる。」

「行政機関が持っている個人情報を加工、匿名情報にして民間に使わせてよいのか。国民の国家に対する信頼を突き崩すことになる。」

今国会に「個人情報保護法」と「行政手続における特定の個人を認識するための番号の利用等に関する法律の一部改正法」が提出される。

前者は広く個人情報保護を目的とした法律であり、後者は全国民に付けられるマイナンバーをもとにして、その番号を行政手続きに利用するための法律(略称:マイナンバー法)である。

各々別立ての法律だが、さらに進んで行政機関の持つ個人情報を加工、匿名化して行政目的以外に民間に使わせて、経済成長に役立たせようという議論がある。

私は反対し消極的意見を述べた。

行政情報は、各々の分野で法律に基づいて集められた個人情報で、国民が拒否出来ない。国民はそれが国家の統治行為であり、国家を運営するために欠かせないと思うから取り立てて反対を言わないし、したがって協力している。

マイナンバー法は国民ひとりひとりに付番し、それを各分野の行政の共通番号にし利便を計る。例えば、マイナンバーカードを出せば、旅券申請に住民票を貼付しなくても良いというような使い方をする。行政が集めた個人情報を個人の利便のために使うのが原則だ。

ところが、行政が集めた個人情報を加工、匿名化して民間に使用させる道を開くという。その方向づけを附則で記するという。

私は強く反対した。国民の国家に対する信頼を損ねかねないからだ。

日本は、国民が国家権力に対して警戒心より信頼を持っているが、その根底は国が国民をだまさない、公はちゃんとやるだろうという期待と信頼である。この信頼が揺らいだら、国家秩序が乱れるもととなる。

個人情報の民間利用は認めるべきでないと主張した。

付則は「検討」の文言となった。